この記事のポイント
- 本人がすでに分かっている音と、楽譜を結びつけること
- 演奏と譜読みを分けすぎないこと
- 本人が楽譜と音を照合する時間
- 今弾いている音楽と楽譜を結びつけながら育てる
譜読みが苦手なら、もっと楽譜を読ませればいい?
ピアノを習っている子どもで、
「曲は弾けるのに楽譜が読めない」
「音符を見ると急に止まってしまう」
ということがあります。
このとき、
「譜読みが苦手なのだから、もっと音符を読ませなければ」
と思うかもしれません。
しかし私は、最初から音符の量を増やすことが必ずしも良いとは考えていません。
まず大切なのは、
本人がすでに分かっている音と、楽譜を結びつけること
です。
耳で覚える子ほど、簡単な譜読みを嫌がることがある
子どもの中には、
一度先生が弾くと覚える。
耳でメロディを再現できる。
指の形で曲を覚えている。
というタイプがいます。
こういう子は、
「もう弾けるのに、なぜ簡単な音符を一つずつ読まなければならないの?」
と感じることがあります。
そこで、
弾ける曲を全部やめて、
簡単な譜読み教材だけへ戻す。
そうすると、本人にとっては「できることを取り上げられた」ように感じる場合があります。
弾いている曲の中で楽譜と結びつける
私は、
演奏と譜読みを分けすぎないこと
を大切にしています。
たとえば、本人が弾ける曲の一小節を使います。
「今弾いたこの音は、楽譜ではどこ?」
と確認する。
一音だけでも構いません。
本人の中にすでにある、
音。
指の動き。
耳の記憶。
そこへ楽譜上の位置を後から結びつけます。
一度に一曲全部読ませなくていい
譜読み練習というと、
新しい曲を最初から最後まで自力で読むことを想像しがちです。
しかし、苦手な子には負担が大きすぎることがあります。
最初は、
一音。
一小節。
片手だけ。
それでも十分です。
「今日はここだけ自分で読めた」
という小さな成功を作ります。
親御さんが答えを全部教えない
家庭で気をつけてほしいのが、
子どもが止まった瞬間に、
「そこはド」
「次はソ」
と答えを言ってしまうことです。
早く先へ進めるためには便利です。
しかし、それを毎回続けると、
本人が楽譜を見る前に、
親の答えを待つようになってしまうことがあります。
「何の音?」より「どう見える?」と聞いてみる
家庭では先生役にならなくても構いません。
たとえば、
「今弾いた音は楽譜のどこかな?」
「さっきの音より上かな、下かな?」
「同じ形がどこかにない?」
くらいの問いかけで十分です。
そして、すぐに答えが出なくても待つ。
本人が楽譜と音を照合する時間
を残します。
楽譜を見ることを嫌いにさせない
譜読みが苦手な子にとって最も避けたいのは、
楽譜そのものが、
「間違いを指摘されるもの」
「テストされるもの」
になることです。
読めない音があってもいい。
少し考える。
試しに弾く。
違ったらもう一度。
そのくらいの余白が必要です。
譜読みは、演奏と別の競技ではない
楽譜を読む目的は、
音符テストで正解することではありません。
自分で音楽を理解し、
弾きたい曲へ少しずつ近づけるようになることです。
だから、
今弾いている音楽と楽譜を結びつけながら育てる
方が合う子もいます。
香住ヶ丘ミュージックスクールでは、耳から覚える子、譜読みが得意な子、それぞれの特徴を見ながら進めています。


